第10回 旧正月の過ごし方

日本ではお正月が終わったばかりですが、中国や韓国ではもうすぐ旧正月を迎えます。今年、旧暦の1月1日にあたるのは1月23日で、たいていはその前日から一週間ほど学校も企業もお役所も休みになります。旧正月は日本のお正月のような感じで、出稼ぎに出ている人や、家を離れ、遠くで学校に通っている学生などが、みな自分の家や親の家に帰り、家族と一緒に過ごします。

 

私は中国留学中、中国の東北地方で「春節(旧正月)」を過ごしました。東北地方では、「徐夕」とよばれる大晦日に、家族全員で水餃子を作って食べます。大晦日の夜は、家族全員、一家団欒で食事をする習慣があります。(餃子を作って食べる習慣があるのは主に東北地方で、南では旧正月に限らずほとんど餃子を食べません。なので、意外かもしれませんが、南の人は餃子を作るのに慣れてません。)

 

春節を迎えるにあたり、家のドアやドアの周りに、「春聯」「対聯」と呼ばれる縁起の良い文字が書かれた赤い紙や、「福」の字を貼ります。「福」はさかさまに貼ると、中国語の「倒(dao/さかさま)」と「到(dao/来る)」の発音が同じなので、「福が来る」といわれており、さかさまに貼る場合が多く見られます。(この福の字は、春節が終わってもはずされず、年中貼られている家庭もあります。)

 

旧正月には、中国の子供たちは日本と同じように压岁钱(yasuiqian/ヤースイチェン)と呼ばれるお年玉をもらいます。このお年玉ですが、もともとはお小遣い程度のもので、私が留学していた当時、友達の子供に聞いたら毎年数十元くらいもらえるという話でしたが、今では経済成長、物価の上昇、一人っ子政策の影響もあり、一人当たり数千元、数万元もらう子供もいるとか。時代の流れを感じます…。

 

そして、春節といえば爆竹です。旧暦の1月1日の12時になったとたん、あたりで爆竹が鳴り響きます。それはもう、何がおきたかわからないくらいすさまじい爆音です。そこらじゅう、いたるところで爆竹の音がします。爆竹により春節はより賑やかになるのですが、爆竹による火災や負傷者があとをたたないため、規制している地域もあります。

 

また、親戚や友達が集まってお酒を飲んだり、トランプやマージャンなどのゲームをしたり、歌番組を見たりして、お休みを過ごします。このへんは日本のお正月と似ています。

 

春節で思い出すのは、留学中に初めて春節を迎えたとき、街中のほとんどの店という店が休みになり、まともに食べるものが手にはいらなかったことです。今の中国はそんなことはないでしょうが、留学していた98年当時は、長く休むのが普通だったので、二週間以上、一ヶ月近く休んでいるお店もありました.。先輩から、事前にお店がどこも開いていないと聞かされていた人たちはパンや野菜などを買いだめしていましたが、それを知らない留学生はあやうく飢え死にするところでした(笑)

 

もう一つ思い出に残っているのは、春節前の駅の様子です。みな故郷に帰るため、国民の大移動が始まり、春節一週間前くらいから駅はものすごく混みます。人口の多い中国では普段から駅に行くと混んでいるのですが、春節や国慶節の長期の休み前は、殺人的な混みっぷりです。特に切符売り場・・・。一時間~二時間待ちなんてざらです。しかも、みんなちゃんと並ばず、窓口近くで、人がダンゴ状に固まっています。横入りは当たり前。旧正月の休みに旅行を計画している留学生は、突き飛ばされたり、しがみついたりしながら、なんとか窓口までたどり着き、無愛想な切符売りのお姉さんにカタコトの中国語で交渉するのですが、早めに行かないと旧正月の切符はたいていが売り切れてしまっています。どうしてもほしい場合は、「无座」という席なしの切符を買い、汽車に乗り込むのですが、乗車率は300%以上です!呼吸するのが苦しいくらいの混みっぷり。もうこれ以上乗れない!というくらいなのに、まだまだ乗ってきます。一度、旧正月前に南行きの汽車に乗り込んだとき、もう乗れないので、駅員が汽車のドアを閉めたのですが、窓を開けて乗り込んでくる人が何人もいました。そこへ車掌と鉄道警察がやってきて、銃を出し、「定員オーバーだ!切符のないやつはみんな降りろ!」と怒鳴ったのが、頭に強烈に焼き付いています。帰るのも命がけです。みなどうしても故郷に帰りたいのです。

 

今の若い夫婦は、一人っ子同士なので、どちらの家に帰るかで喧嘩することもあるそうです。旧正月の過ごし方にも、時代の変化が反映されているように思います。

 

それでは再び、祝大家新年愉快!(みなさま、よいお年を)!