第109回 日本のスーパー

先日、知り合いの中国人女性を連れて近所のスーパーに行きました。彼女はご主人の仕事で来日したばかり。いつもは日本語の分かるご主人が彼女の代わりに買い物をしているので、彼女はこの日、日本のスーパー初体験となりました。

 

まず彼女は、日本のスーパーは荷物を預けなくていいということに驚いていました。中国のスーパーは、万引き防止のために鞄をコインロッカーや保管所に預けなければならないところが多いのです(外資系のスーパーでは預けないところもある)。人を掻き分けて荷物の出し入れをしなくてもいいので(中国の土日のスーパーはめちゃくちゃ混んでいる)、楽だと喜んでいました。

 

スーパーや市場に行くと、その国の食卓が見えます。料理をする人は、外国の食材に興味津々です。まず入り口すぐの果物や野菜が陳列してある所で、日本のスーパーの野菜は少量ごとにパッキングしてあるのねと彼女は言いました。そういえば、中国では有機野菜はパッキングされているが、それ以外は山積みになっていて、量り売りだったことを思い出しました。私が中国東北部に留学していたころには現地では見かけなった、牛蒡やアスパラ、ブロッコリーも最近は売られていることに、去年訪中した時に驚いたのを覚えています。流通が随分よくなったものです。果物も野菜も日本のほうが種類が少ないよ、と彼女に言われて、中国ではどこでも売られている(しかも安い)ドラゴンフルーツや石榴が急に食べたくなりました。

 

彼女は魚介類の売り場では、その種類の多さに目を丸くしていましたが、「全部死んだ魚だね。中国の魚は生きた状態で売ってるんだけど」と言いました。中国人は市場で魚を買いますが、魚は生きていて水の中に入れられています。貝や蟹や海老類も同じです。が、元気に泳いでいるものは少なく、浅い、水槽とはいえないような入れ物の中に、瀕死の状態で浮かべられているものが多いですね…。(危険なので蟹のハサミは紐で縛ってある)「中国では魚介類は死んでたら売れないよ」と、彼女は言いましたが、日本は海が近いし流通が発達しているので、魚はとても新鮮で、死んでいても問題ないよと安心させました。福建省出身の彼女は、北海道の特産物の鮭を手にとって珍しそうに眺めていました。

 

料理が趣味の彼女は外国の調味料に興味があり、海外に行くたびに現地の調味料を大量に買い付けています。日本の調味料を見たい!と言った彼女は、醤油のコーナーで足を止めました。そこに並べられているのは薄口醤油、濃口醤油、刺身醤油、たまり醤油、再仕込み醤油、白醤油・・・等々。日本の醤油の種類の多さに彼女は圧倒されているようでした。「それぞれ、どう違うのか説明してほしい!」と、私に尋ねます。「中国にはこんなに種類ないよ」の一言で、醤油が日本料理に欠かせないものであることを再認識しました。

 

そうそう、味醂も日本独自のものだったと思いながら彼女に紹介すると、

「お米から作るなら体によさそうだけど・・・、料理によっては砂糖も味醂も入れるんでしょ?日本人は、ほんと甘い味付けが好きね」

 

「そういえば、八角とか、月桂樹の葉とか、桂皮とか、唐辛子とかのスパイス類ってあまりないんだね。棗とか、クコの実とか、松の身とかそういうのもないみたい。」

「日本料理は素材の味を生かすから、スパイスはあまり使わないからね。洋食や中華料理を作るときに使う人もいるから、小分けにして売っているけど」

「高いね!中国なら量り売りですごく安いよ。向こうじゃ数十円で売っているものも、こここじゃ数百円か・・・。次回帰国したときに持ってこないといけないわ」

やっぱり、外国人しか気づかないようなこともたくさんありますね。彼女は、乳製品が新鮮で種類が豊富なことをとても喜び、中国にいる3歳の孫に飲ませたいと言いました。日本の食品が新鮮で、安全だということを改めて認識したのでした。