第17回 はっきり言わなきゃわかんない【2】

先日、職場の先輩(中国人)が、客先に提出する書類を私に見せに来ました。日本語で作成しなければいけない書類だったので、私に最終確認してほしいとのことでした。

「ここなんだけど、どうしたらいい?これには●●と書いてあるんだけど、××にしたほうがいいか、▲▲にしたほうがいいか。どう書いたら一番日本の人にわかりやすい?」

「そうですね~、▲▲と書いてもいいですし、××でもいいですよね」

「…ここもなんだけど、僕は■■って書いたんだけど、◎◎にしたほうがいい?」

「◎◎でもいいですね。」

「…じゃあさ、全体見て、ほかにおかしいところある?」

私はざあっと目を通して、

「こことここは△△にしてもいいかもしれないですね。あとは、まあ、大丈夫だと思います」

 

瞬間、先輩が切れました(笑)

「あのさぁ、もっとはっきり言ってくんないかなぁ。僕は、『●●を××にしたほうがいいのか、▲▲にしたほうがいいのか、それともそのままがいいのか』って聞いてるんだよ。『●●でも、▲▲でも、××でもいい』ってどういうこと?『でもいい』っていうのは、どれでもいいっていうことだよね。『■■でも、◎◎でもいい』って一体どっちなの?それに、『にしてもいいかもしれないですね』って、何だよ、一体したほうがいいのか、しないほうがいいのか。『まぁ大丈夫だと思います』って、曖昧だなぁ!はっきりだめなところはだめって言ってくれよ」

 

日本人に話すときは上記のように話しても何ら問題はなく、「◎◎でもいいですね」「△△のほうがいいかもしれない」と言ったら、「■■より、◎◎のほうがいい」「もとのものより△△のほうがいい」の意味だというのは相手に伝わり、はっきり言わなくても、その裏の意味をよみとって理解し合えます。(日本人同士の場合、相手が作ってきた書類に対して、ずばずば言うのは悪いような気がするというというのもありますし、見せる側もそこまではっきり指摘されることを望んでいない場合が多いですし)

 

私はその先輩と話すときはいつも日本語で会話していて、日本人に話すようなつもりで言ったのですが、中国人はこのような曖昧な表現はしないので、混乱させてしまったようでした。先輩は日本語がとても流暢なのですが、やっぱり中国人なのでした(笑)

「僕はあなたがこれを見てどう思うか、あなた自身の意見を聞いているんだよ。あなたの考えはどうなの?『でもいい』とか、『かもしれないですね』とか『まぁ、~と思います』とか言わないでさ、はっきりきっぱり言ってよ」

 

今、文章にしていても私の話している言葉のなんと曖昧なことか(笑)普段使っていて気づいていませんでしたが、日本語の表現は中国語、韓国語に比べると曖昧なものが多いです。日本語できっぱり言い切ると、すごくきつい表現に感じられます。やっぱり日本語ははっきり言わなくても、全てを言わなくても、相手が言わんとすることを読み取って会話を成立させる独特の文化がありますね。

 

先輩にそう言われたので、

「ここは××のほうがいいです。ここも◎◎がいいです。ここはこのまま、変えなくていいです。ここはこれより△△にしたほうがいいです。これは書かなくていいです。削ってください。あと、ここ長すぎますね。要約したほうがいいです。この挿絵、内容に合ってないですよね。素材集にもっといいのありましたよ。あと、ここ間違ってます。日本語はこういう言い方しないので、こうしてください。」

そう言うと、先輩は、

「わかりやすい!今度からそう言ってよ」

と喜んで、書類を手に戻っていきました。

 

はたから見ていたら、なんてきつい女なんだろう、と思われたかもしれません(笑)