第21回 サインと印鑑

日本では銀行や役所の手続きから宅急便の荷物の受け取りまで、何をするにも印鑑が必要です。何かの申し込みや解約・・・書類には必ず印鑑を押す部分がありますね。ですが、これだけ日本で使われている印鑑は、中国ではこのような個人の手続きの場合にはまったく使われません。(企業の社印は、日本と同じように使用されていますが)印鑑は、もともと中国から日本に伝わってきたものではあるのですが・・・。

 

中国では役所や銀行の手続きの場合、サインでOKです。画や書をやる人は作品に印を押すこともありますが、それ以外の人は、印鑑を持っていない場合もあります。来日した中国人は、日本で生活していると、やはり印鑑が必要な場面も出てくるらしく、仕方なく作ったという人もいます。私の友達は、まさかこれほど印鑑を使うとは思っていなかった、中国で作ってくれば安かったのにと愚痴をこぼしています。(中国ではさほど印鑑を使う機会はないのに、作るお店はかなりあります。特にお土産を売る場所でよく見かけます)

 

以前、ある手続きの書類に私が書いたサインを見た中国人が、「日本人は、サインするとき一画一画丁寧に書くよねぇ。でもそれじゃあ、誰かが筆跡を真似しようと思ってもすぐできちゃうよね?あぁ、そうか、そうされても困らないように、日本では印鑑を使っているんだね」と、納得していました。中国人には、誰にも真似できないように一人一人独自のサインがあるんだよと彼は教えてくれました。

 

「サインするときはね、流れるようにくずして書くの。」

と、彼はさっと書いて見せたが、それはまるでタレントが色紙に書くサインのようでした。もとの漢字が全く分かりません。日本でこういうふうに書類に名前を書く人はまずいないでしょうね・・・。カッコつけているように見えるかも(笑)。彼は随分考えてこのサインを編み出したと言い、中国で書くときのために、サインを考えておいたほうがいいよと私にアドバイスをくれました。そうかなぁ、と、私がなんとなく自分の名前をくずして書いてみていると、

「だめだめ、もっと大胆にくずさなきゃ」

と言って、私のためにサインを作ってくれました。これは文字なの?というような形状。一筆書きできるよと彼は言いましたが、どこから書き始めればいいのか全くわかりません。が、よく練習しなさいよ、と彼は満足気でした。

 

昔はみな自分でサインを考えたようですが、今はサインを考えてくれる企業があり、ネットや携帯電話で気軽に申し込めます。より美しく、書きやすいものを提供してくれるということです。