第24回 瓜子(グヮズ)

ひまわりの種を見ると、ひまわりの花ではなく中国人が頭に浮かびます。中国人はひまわりの種をよく食べるからです。中国語で「瓜子(グヮズ)」と呼ばれるひまわりの種を炒ったものが、中国では日常的に大量に食されています。瓜子はスーパーでパッケージに入って並べられていたり、市場や道端で量り売りされていたりします。味がついていないものもありますが、「香瓜子」といって、塩や調味料で味がつけられたものもあり、また、殻をとった実だけのものも売られています。今から10年以上も前になりますが、留学中は3元(当時日本円で45円ほど)で1キロ以上は買えました。現在はもっと値上がりしていると思います。

 

ひまわりの種は軽いので、1キロと言ったら結構な量に思えるかもしれませんが、中国人が食べ始めるとあっというまになくなります。数時間で一人で食べきってしまう人もいます。彼らは家の中で、汽車の中で、映画館で、職場で・・・時間をもてあますとき、手持ち無沙汰なとき、場所を選ばず黙々とこれを食べます。気づいたら瓜子の袋は空になり、机の上に殻の大きな山ができています。映画館や汽車では下に殻を落とすので、床が殻だらけになります。映画を見終わって劇場から出るときには、大量の殻を踏みつけながら歩くしかなく、ザクザクと奇妙な音がしたのを今でもはっきり思い出せます。種で床が全く見えないところも・・・。二時間でどれだけ食べたの!?という驚きの量。

 

あれだけの量を短時間で食べるには、食べ方にコツがあります。彼らが瓜子を食べるのにかかる時間はわずか1秒。しかも片手しか使いません。瓜子を前歯で軽くはさんで中身を一瞬で取り出す、正に神業。その動きに一切の無駄はありません。驚いたのは、そういう動きができるほとんどの人の前歯の一本に、瓜子を長年食べることによって刻まれた小さな溝があることです。その溝に瓜子をひっかけ、殻を取るのに利用しているのです。硬い歯を削ってしまうくらいなのだから、相当量の瓜子を食していることになりますね・・・。日本や他の国の留学生たちも真似をして食べてはみるのだけど、やっぱり片手ですいすいっと食べるわけいにはいきません。両手で持って、歯を使ってみたり、爪を使ってみたりするけど、時間がかかるし、うまく剥けず実が割れてしまったりします。それを見て中国人は、「まだまだだねぇ」と笑うのでした。

 

中国ではひまわりのほかに、スイカやかぼちゃの種も売られていますが、やはりダントツでひまわりの種が人気があります。このような種やドライフルーツが中国では昔から庶民のおやつだったのです。食べ過ぎたらよくないけど、砂糖を使いすぎている現代のお菓子よりは身体にはいいかもしれない、とふと思いました。

 

瓜子は、帰省した中国人の友人からお土産でもらうことが多く、今でもよく食べますが、何故か中国にいたときのように、大量には食べられないのでした。やっぱりあのときは中国人とおしゃべりしながら、一緒に食べていたからたくさん食べられたのかもしれません。私にとって瓜子の味は、ハルビンでの生活を思い起こさせてくれる懐かしい味なのでした。