第31回 自転車に乗って

「日本に来て自転車によく乗るようになってから、気づいたことがある」

と中国人留学生の女の子が言いました。

「日本人は自転車に乗っているとき前に歩行者がいるのを発見しても、ベルを鳴らさない人が多いね。たまにジリジリ鳴らしているお年寄りを見ることはあるんだけど、ほとんどの人はぎりぎりまで近づいて、相手が気づいてよけてくれるのを待ってるよね。鳴らしたとしても、すごく控えめに聞こえるか聞こえないかくらいの音で鳴らすし、『すいません』って声かけて道を開けてもらっているひともいるでしょ。だから、最初はなんのためにベルがついているのよ?と思っていたんだけど、その行動に日本人らしい『他人に迷惑をかけない』っていう考えが反映されている気がしたの。邪魔だからよけてよっていう態度はよくないと思っているのね。たまに、鳴らしたほうが安全じゃない?って思うこともあるけど・・・」

中国で自転車に乗っている人は、邪魔だったらかなり遠くからじゃんじゃん鳴らすよ、と彼女は言いました。

 

彼女は「日本に来て自転車によく乗るようになって」と言いましたが、中国にいるときは自転車には全く乗らなかったそうです。家に自転車があることはあるのですが、一つには交通量が多いので怖くて乗りたくない(中国の自転車は車道を走ります。専用の道路があるところも多いです。)もう一つは、ある程度経済力がある人はみな車に乗っていて、自転車は貧乏人が乗るものというイメージがあるので、どこに行くのも自転車というのはちょっと・・・と思っていたそうです。昔は自転車大国のイメージがあった中国も現在では、自動車所有率が急速に伸びており、今正に経済成長の真っ只中にいる中国では、日本のようにスポーツとしてマウンテンバイクやサイクリング車などに乗ったり、エコだから環境のために自転車に乗るという考えはあまり定着していなくて、自転車は貧乏な人が乗るものというイメージがあるというのも理解できます。

 

中国では自転車に乗る人が自転車を改造して、後ろに人が乗れるように座席をつけたり、荷台やかごをつけたりして、農作物や新聞、飲料水やビールなどの商品を運んでいるのをよく見かけます。たまにそんなに乗せて大丈夫なの!?というくらい過積載なのもあります。とくに商売で使っているものは、なかなかうまく改造してあって感心していまいます。

 

「ベルを鳴らさない」で思い出しましたが、日本の自動車もクラクションをあまり鳴らしませんね。中国の車はめちゃくちゃに鳴らします。横入りしそうな車にブー、遅い車にブー、進行方向を妨げる車にブー!とにかくブーブーブー!です。中国は交通量が多く、日本に比べるとスピードを出しますし、運転が荒く事故もとても多いのです。日本に来たばかりの友人が免許を日本の免許に切り替えたときに、アイカタ(夫。中国人)が「日本は歩行者優先。歩いている人がいたら必ず止まって。スピードは出さない。必ず標識を守って。あと、クラクションはめったにならさない!」

と言ったので笑ってしまいました。どこの国でも安全運転が第一ですね。