第35回 血のつながらないお兄さん、お姉さん

韓国人と知り合うと、すぐに年齢を尋ねられることがあります。日本人の中にはぶしつけだなと思う人もいるかもしれませんが、これは韓国の習慣の一部だと言ってよいと思います。

 

韓国では一歳でも年が上だった場合、ある程度仲良くなったら名前の後ろに、お兄さんと言う意味の「오빠(オッパ/女性が男性を呼ぶ時)、형(ヒョン/男性が男性を呼ぶ時)」お姉さんと言う意味の「언니(オンニ/女性が女性を呼ぶ時) 누나(ヌナ/男性が女性を呼ぶ時)」をつけて呼びます。また、年上の言うことにはある程度従わなければならず、年下は年上に失礼があってはいけません。これは韓国社会に深く浸透している儒教の精神に関わっています。この上下関係を位置付けるために年齢を聞くのです。

 

知り合った人が年下なら、ある程度こちらも自分の意見を言ったり、わがままを通すことができます。相手も気を使ってくれるし、タメ口でもOKですね。ですが、一歳でも上なら状況が逆転します。こちらが合わせないといけないし、言葉遣いも気をつけないといけません。また、食事や遊びの支払いは年上がするのが普通で、自分が上のときはもちろん支払いは自分になります。

 

中国に留学中、寮の隣の部屋の住人は韓国人留学生でした。私よりいくつか年上の彼は、年下の韓国の留学生数人を指差して、「彼らは僕の弟だよ」と言いました。親戚一同で留学してるのかと思いましたが、後にこれが韓国独特の文化で、年が下だと基本的にはみな弟、妹と呼ぶということを知りました。

 

みなさんも韓国ドラマのなかで若い女の子が、鼻にかかった声で「オッパ~~」などと言っているのを聞いたことがあるかもしれませんが、「オッパ」と呼んでいるからといって、本当のお兄さんではありません。彼氏が年上だった場合は、普通は彼氏をそう呼ぶのです。

 

血のつながった兄弟でもないのに、年上の人をお兄さんお姉さんと呼ぶのに最初はかなり抵抗がありました。でも寮の中は韓国人が9割だったので、すぐに韓国文化が生活の中に入ってきて、(韓国人留学生が韓国式のやりかたを譲らないという面もあったが)気がついたら彼らを「オッパ、オンニ」と呼ぶようになり、オッパ、オンニたちも中国に不慣れな日本の妹たちの面倒をよく見てくれました。(年上は年下の面倒をよくみないといけないため)

 

もうひとつ付け加えると、同じ年生まれというのは特別な意味を持っています。たとえば1980年生まれ同士だったら上下関係のない「友達」になれます。だから、同じ年生まれだと分かると妙に相手が喜んで、親しげな態度をとられることがよくありました。

 

だから、韓国人にとって、相手が自分より年上なのか下なのか同い年なのか、親しくなるととても重要なことなのです。年を聞かれても(特に女性は)不愉快に思わないで下さいね。