第46回 男女平等の先進国

「中国は男女平等の先進国だ」

中国に行く前からそう聞いていましたし、実際に住んでみても、そのとおりだと感じることが多くありました。中国には専業主婦はまずいません。ほとんどの女性は既婚未婚を問わずみな仕事を持っています。会社や国の組織の女性幹部が日本より圧倒的に多く、目覚しい社会進出を遂げている印象を受けました。

 

中国の女性は仕事でもプライベートでも、男性と対等にものを言います。不満があると、文句も要求もガンガン言うので会話を聞いていると、男性がタジタジになっているのがわかります。日本では今でこそそういう女性もいるかもしれませんが、一昔前くらいまでは、女性が公の場で男性に向かって、または男性をさしおいて堂々と自分の意見を主張すると眉をひそめられ、女性には一歩下がった「控えめ」な態度が要求されました。

 

中国人が日本の会社を訪問したとき、女性がお茶汲みをしているのに驚くという話を聞いたことがあります。中国の会社では女性にお茶汲みはさせません。(日本の会社でも自分のお茶は自分で入れるというところもありますが、未だに習慣的(伝統的?)にお茶汲みは女性と決まっている職場も少なくないですよね。)中国では、男性と女性の仕事を基本的に分けないし、女性も「女だから」という甘えた考えを持っていません。結婚し、子供を生んだ後も一般的には3ヶ月(中国の産休は90日)で仕事に復帰。定年まで働き続ける人がほとんどです。

 

そういう背景を知っているので、中国では能力さえあれば、女性が昇進するのは難しいことではないだろうと思っていたのですが・・・。

 

友人に、ある中国大手企業の女性幹部がいます。彼女は、並み居る男性幹部たちを抑えて、新規事業の総責任者に抜擢されました。英語も話せ、話術も巧みで、非常に営業力のある優秀な彼女が、一緒にお酒を飲んだときにこんなことを言いました。

「私は、男性の何倍も努力してきた。仕事に全てをささげてきたのよ。時には家族を犠牲にしなければならなかった。女性が昇進するには、男性と同じことをしていてはだめなのよ。運と根性と努力、この3つが必要ね。」

それを聞いて、どこの国でも、女性が認められるのは容易なことではないのだと悟りました。特に、たくさんの優秀な男性ライバルがいる環境の中から、女性がリーダーに抜擢されるというのは並大抵のことじゃないのは、中国も同じだったのです。

 

以前、中国では女性の自殺率が男性の自殺率を上回っているという報道がありました。「男女平等の先進国」とはいうものの、社会での葛藤や苦悩もその分日本より多いのかもしれないと思ったのでした。