第51回 今日はお粥なの

中国人のルームメイトと一緒に暮らしているとき、朝ごはんや晩御飯がお粥になることがよくありました。そういうときは決まって彼女たちは

「悪いわね~、今日はお粥なの。」

と、私に言うのでした。私が、

「日本ではお粥は病人食。風邪を引いたり、胃腸の調子が悪いときくらいしか食べない」

と言ったからです。私もすぐにお粥の生活に慣れたのですが、私の言ったことが彼女たちには衝撃的だったようで、いつもそう言うのです。

 

彼女たちは福建省出身で、国内にいるときから特産のサツマイモを日常的に食べていて、彼女たちが作るお粥にはいつもサツマイモが入っていました。お米が足りないときはサツマイモを特に多めに入れます。留学していた中国の東北地方では見たことのない食べ方でした。お粥は早く消化してしまうので、すぐにおなかが空きますが、彼女たちが言うには、主食として朝はお粥、昼は白米か麺、餃子、麺、餅(ビン/チヂミのようなもの)、夜はお粥というのが最も理想的だそうで、朝は起きたばかりで胃腸の働きが悪いからご飯よりもお粥、昼は普通に食べて、夜は寝る前なので消化しやすいお粥を食べるというのが身体にいいということでした。言われてみれば一理あるような気がします。中華料理は油っこいイメージが強く、中国人はいつもそういうものを食べているように思うかもしれませんが、一般家庭では、朝はお粥と漬物、ピーナッツを炒ったもの、豆腐乳(豆腐を発酵させて、塩漬けにしたもの)だけだったりします。また朝食を外でとる人も多く、お粥や、饅頭(マントウ/中国式パンのようなもの。大きさは肉まん大で、肉まんの皮に似た味。中には何も入っていない。東北の人はこれを食べるときはお粥もセットで食べる。)、花巻(ホァジュアル/こねた小麦粉を薄くして巻き、蒸したもの。味はマントウに似ている。)油条(あげパン。これはちょっと脂っこい。豆乳に浸して食べる人が多い。)、豆乳、豆腐脳(絹より柔らかい豆腐に醤油などをかける)などなど、外でも朝はやはり軽く済ませます。彼女たちと生活してみて気づいたけど、中国人は朝昼晩、三食全部白米(ご飯)ということはほとんどありません。必ずどこか一食にお粥や麺類、餃子、餅(チヂミのようなもの)が入ります。中国人と結婚した日本人女性が、何日も続けて朝昼晩白米を出したらご主人に文句を言われたという話にも納得がいきます。朝と夜二回お粥を食べるのが習慣になっている人もいるので、食生活を合わせるというのはなかなか難しいですね。

 

中国のお粥にはいろいろな種類があります。白米だけのものもあれば、粟や黒米などの雑穀をたっぷり入れたもの、とうもろこしのお粥、かぼちゃのお粥、八宝粥というナツメやクコの実、蓮の実などが入った甘いもの、鶏肉やえびでだしをとって炊いた雑炊に近いものなどなど。地方によって入れるものも違うし、味付けも変わってきます。中国のお粥は日本のお粥より水分が多く、先ほど「饅頭(マントウ)」を食べるときに一緒に食べるといいましたが、食べると言うより飲むといった感じです。スープのような役割も果たします。中国人がお粥を食べるとは言わず、お粥を飲む「(喝粥/フージョウ)」と言うのも納得できます。あと、残ったご飯をお粥にする場合、中国では「粥(ジョウ)」とは言わずに「稀饭(シーファン)」といいます。「粥(ジョウ)」は、お米から炊いてお粥を作るときのみです。私は個人的には「粥(ジョウ)」のほうがうまみがあって美味しいと思います。

 

私の主人も朝はお粥派で、作ってほしいと言われたので、結婚当初、友人にいろいろな中国粥の作り方を教えてもらいました。その中ではピータン粥がイチオシで、その作り方を紹介すると・・・ごま油でしょうがのみじん切りと豚ひき肉を炒め、塩で軽く味をつけておき、お粥に投入。最後に細かく切ったピータンも入れて軽く混ぜます。ピータンはそれだけで食べると臭いが気になりますが、お粥に混ぜるとそれが中和され、程よい塩気と独特の触感が残ります。これを朝食べると、今日も一日頑張ろうという気分になれます。みなさんももしピータンが手に入ることがあれば、是非試してみてください。