第59回 中国の産後

産後はしばらく実家に居候していたのですが、普段料理をしないアイカタ(夫。中国人)が豚足を煮込んだスープを作って毎日のように持ってきました。中国では、産後、母乳の出をよくするために豚足スープを飲みます。産後の身体の回復にもいいと言われています。主人は自分の母やまわりの中国人女性に作り方を聞いて、一生懸命作ってくれたのですが、味付けがほとんどされておらず、一緒に入れた棗(なつめ)の味が強すぎたり、脂っこかったり…と、独特の味で、毎日大量に飲むのは辛いものがありました…。

 

他にも中国で産後に食べるとよいとされているのは、鮒や鯉、落花生、黒砂糖、鶏を丸ごと煮込んだスープ、卵などです。黒砂糖は水に溶かして、棗やクコの実を入れて一緒に煮込んだものを飲みます。私の以前の職場の上司の話では、今のように食べ物が豊富ではなかったころ、卵も手に入りやすいわけではなかったけれど、大変栄養があるということで、家族が自分たちの食べる分を彼女にまわして、出産したあと一日に10個も食べさせられたと話していました。また、妊娠してからすぐに、釣りが趣味の中国人の友人が「日本には鮒や鯉を売っているところがないから、河で釣ってきてあげるね!」と、言っていたのが印象的で、中国ではそれだけ産後に一般的に食べられているのだなと思いました。

 

中国では、産後30日~40日の産褥期を過ごすことを「坐月子(ズォユエズ)」と言い、その間は(地域によって多少違うようですが)

○水を触らない。

○水を飲まない。そのほか冷たい飲み物は飲まない(もともと中国人は冷たい飲み物はあまり飲みませんが)

○夏でも厚着をする。極端なことを言えば、真夏でもセーターを着たり、長袖を4、5枚くらいの厚着をする。厚手の靴下を履く。

○スリッパは柔らかいものを履く。

○窓は開けてはいけない。

○シャワー禁止。とくに頭を洗うのは絶対だめ。

○クーラー禁止。

○TV禁止。(人によっては見るひともいますが)

 

この時期、このようにして過ごさなければ、後々、身体のどこかに不具合が出ると考えられており、中国人女性は徹底してこれを守っていますね…。夫の母もしくは自分の母や、「月嫂(ユエサオ)」とよばれるベビーシッター兼家政婦に家事全般を任せて、赤ちゃんに母乳をあげる以外のことはしないで、ひたすら横になって休みます。それにしても、一か月以上シャワーが浴びられないのは夏だったらかなり厳しいですね。昔は歯磨きもだめだったそうです。虫歯だらけになりそうですね…。母や祖母の話によると、昔は日本も似たようなことが言われていたそうで、水に触ってはいけないとか、頭を洗ってはいけないとかいうのは、お湯がすぐには出なかったり、ドライヤーが普及していなかった頃の話なのかなと思いました。とにかく身体を冷やさないようにということなのだろうなと。産後の身体は体力を消耗しているので、あたたかくして十分に休みなさいということなのだと思いました。

 

義母や中国人の先輩ママたちからは、これらのことをきちんと守って「好好坐月子(きちんと産褥期を過ごすように)」と言われましたが、あまりにも厳しすぎて、日本で出産してよかったと思ってしまうのでした…。