第60回 赤ちゃんの性別

妊娠が分かった時、アイカタ(夫。中国人)の両親から、「男の子だといいね。」と言われました。アイカタもはっきり口には出さなかったものの男の子を希望しているのが、態度や義父母との会話を聞いているとよくわかりました。お腹の子が女の子とわかったあとも、アイカタはなかなかその事実を義父母に告げようとはしませんでしたし、それを知ると義母は「間違いってことはないのかい?」と、何度も病院に確認するよう言いました。

 

中国の今の若い世代は、赤ちゃんの性別が男女どちらでもいいという考えの人もいるようですが、義両親の世代なら後継ぎのことやその価値観から、男の子をほしがるのも分からなくはないと思いました。韓国や中国では伝統的な昔からの考えで、男の子をほしがることが多く、男の子が生まれるまで何人も子供を産んだり、男の子ではないとわかったら子供を中絶したりするケースもよくあります。とくに中国は現在一人っ子政策を実施しているので、男の子ができるまで何度も中絶するようなこともあり、現在では赤ちゃんの性別を伝えることは法律で禁じられていますが、みなあの手この手で医者から聞き出そうとします。すでに男性:女性の人口のバランスが崩れ始めていて、結婚できない男性が増加し、社会問題として取り上げられています。

 

赤ちゃんが女の子だったことを中国の友人たちに言うと、

「女の子もいいものよ!両親の面倒をみてくれるし、優しいし。それに、日本には出産の制限がないのだから、何人でも産めばいいじゃない」

と、口をそろえて言いました。「一人っ子政策がないのだから、また産めばいい」これは、中国人からよく言われる言葉です。「私も制限がなければ、二人はほしかった」そう言う人も多くいます。こういう話を聞くと、この政策が社会に与えている影響は本当に大きいと感じます。(高額な罰金を払えば二人目を出産できたり、少数民族は二人まで産めたりなど例外はありますが)

 

義母も同じように

「一人目が女の子でも、またすぐ二人目を産めばいい」

と言いましたが…、考えてみたら日本にも以前、男の子を好む風潮がありました。祖父が、私が生まれたときに日記に「残念ながら女児」と書いていたり、父が、弟が生まれたときに「男の子」だということで、とても喜んだと母から聞かされました。今はそんな話はほとんど聞くことがなくなりました。中国も今後、時代や社会の変化とともに変わっていくかもしれないなと思います。

 

娘が生まれてみると、アイカタは大喜びで、しばらくひとときもそばを離れようとはしませんでした。時間が許す限り、朝早く病院にやってきて、夜遅くまで娘にべったりでした。よい父親になろうと、彼なりに努力しているようです。