第62回 電磁波防止エプロン

妊娠がわかってからアイカタ(夫。中国人)がすぐに買ってきたのは、電磁波防止エプロンでした。エプロンのお腹の部分に大きなポケットがついていて、そこに電磁波防止の薄い板のようなものが入っているタイプのものでした。夫が言うには、お腹の赤ちゃんに影響があるから、パソコンや携帯電話、IH調理器具などを使うときにこのエプロンをしたほうがいい!ということでした。ごつごつしていてつけると少々作業しにくかったのでつけないで料理をしていると、アイカタが飛んできて「赤ちゃんになにかあったらどうするの!」と、エプロンを首にひっかけます…。周りの妊婦の友人でだれもこういう電磁波防止のエプロンを使っている人がいなかったので、そこまでする必要あるのかな…と言いかけて、そう言えば韓国滞在中、中国人街(中国人労働者が多く住む街が工業地帯にありました)で暮らした時に、周りの妊婦の中国人がよくこれを付けていたのを思い出しました。当時、IH調理器具は全く普及していなかったのですが、主にパソコンをするときにこのエプロンをつけていました。

 

彼女たちはこの電磁波にとても神経質になっていて、遊びに来た友達がノートパソコンを置いて帰ってしまったときには、わざわざ居間から遠い部屋に置いて保管したり、常に携帯電話を身から離してベッドの上や机の上に置いていたり、だんなさんにも携帯を胸や腰のポケットに長時間入れたままにしないようにといつも注意したりしていました。私が日本ではそんなことをしている人は見たことがないと言ったら、

「これは常識よ。知らないなんて遅れているね~。気をつけないとだめよ!」

と言われてしまいました。

 

彼女たちは妊娠していなくても普段から電磁波に注意しているようでしたが、妊娠すると特にそれが気になるようでした。私の帰国後はそのとき知り合った友人たちとメッセンジャーでやりとりするようになっていましたが、いつも30分くらい経つと、

「今日はここまで。」

と言って、妊婦の友達はオフラインになります。パソコンの前で長時間電磁波を浴びるのはお腹の赤ちゃんによくないから・・・なのだそうです。

 

また、私は中国系企業で働いていたのですが、妊娠7カ月くらいのときに中国人の上司に翻訳を頼まれて作業していたら、その上司が一時間くらいしてやってきて、

「悪いね、妊娠しているのに。何時間くらいパソコンに向かっているの?そろそろ終わりそう?電磁波がよくないから、終わったら電源を落としなさいよ。明日から電磁波防止エプロンを持ってきたら?」

と言われたこともあります。日本の会社なら上司がこんなことを言うことはないですね。電源を落としてしまったら仕事になりませんし…。妊娠してから、中国人は妊婦にやさしいのだということを身をもって知る機会が多くありました。

 

そういうわけで妊娠中にさんざんお世話になった電磁波防止エプロンですが、今はつけなくてもアイカタは何も言いません。妊娠した中国人の友人がいるので譲ろうかなと思っています。