第72回 義両親の来日②

義両親が来てすぐ、家の中は八角と花椒(中国の調味料で、たいていの料理に使われている)の匂いになりました。ドアの外の廊下までその匂いがしていました。中国にいるときは全く気にならなかったのですが、日本にいるその香辛料がかなり強い匂いに感じられます。また、冷蔵庫の中はニンニクと酢の匂いで充満していて、日本では朝からニンニク料理を食べることはまずないので、食生活が違うということを再認識しました。アイカタ(夫。中国人)も、もうこちらでの生活が長いので匂いに敏感になっており、同じことを言いました。

 

せっかく日本に来ているので、何軒かの和食のお店に連れて行きましたが、香辛料をほぼ使わず、素材の味を楽しむ…という和食が口に合うか心配でした。義両親は中国の内陸に住んでいるため、海の幸をほとんど見たことがなく、義母はウニやタコを「これはなんだい?」と、ひとつひとつ聞いていました。中国は国土が広いため、内陸に住んでいる人の中には一生のうちに一度も海を見ないという人もいます。二人とも思っていたよりは食べてくれましたが、やはり義母は生ものばかりで、冷たいものが多い日本料理はあまり好きではないようでした。(中国では温かい料理しか食べないため)

 

滞在中、この他にも習慣の違いによるハプニングはいろいろありました。まず来日した日に説明しなければならなかったのが靴を脱ぐ場所です。義両親は二人とも土足で入ってこようとしました。中国の家には玄関がなくドアを開けるといきなり廊下になっており、外と中の区別があいまいなので、どこで靴を脱いだらいいのかわからなかったようで、玄関から上がると絨毯が敷いてあるのですが、その上で脱いだり、室内用のスリッパを玄関のドアの真ん前で脱いだりしました。ベビーカーで出かけると言ったら、部屋の中までベビーカーを持ってきて用意してくれたのには笑ってしまいました。また、写真館で娘の100日の写真を撮るときに「靴はここでぬいでください」と書かれてあったのですが、ひらがなのわかない義両親は「靴」しか意味がわからず、そのまま土足で上がって行きました。中国では靴を脱いで上がるお店はほとんどないのです。

 

また、義母は一緒に外に出ると、私とかなり近い距離で歩いたり、腕を組だり手を繋いで歩こうとするので、周りからはかなり仲のいい親子に見えたと思います。中国や韓国では親戚や仲のいい友人と手をつないで歩く(女性同士に限りますが)のは普通のことなので…。そして、私の手を握ったまま信号を無視し、車がビュービュー走っている通りを走って渡ろうとします。中国ではそうやって道を渡る(第66回 中国の交通事情参照)ことが多く、躊躇せずに飛び出そうとするので焦りました。

 

そういう違いに驚きながらも、義両親は孫と過ごす日本の滞在を楽しんでいるようでした。