第74回 寒いところは苦手なのに①

最近寒さが厳しいですね。一晩で膝がうまってしまうくらい雪が降るというのはさすが北海道だと思います。私はもう札幌に来てかなり長くなるのですが、18までは本州で育ったからか、雪道を歩くのが未だに慣れず、毎年のように転んでおり・・・去年も臨月に転んでしまい夜中に救急で診察を受けるという事態に。(お腹の子に異常はなく、数日腰痛に苦しむだけで済みましたが)

 

そういうこともあり、私は寒いのが大の苦手です…。なのに、なぜか寒いところに縁があります。韓国の留学先のソウルは、今住んでいる札幌より寒く、雪はあまり降りませんでしたが、冬の寒いときには零下15度にもなりました。が、それより寒かったのは、中国の留学先。ロシアに隣接し、中国では最北にある黒龍江省の省都、ハルビン市です。

 

私の母校は、今は中国の南方の大学とも交換留学制度がありますが、当時は北にあるハルビンか瀋陽の学校しか選べませんでした。私は申請したのが遅く、瀋陽の枠が空いておらず、ハルビンに行くことになりました。かなり寒いところらしいよ、というのは先輩から聞いていて、それなりに覚悟していたつもりでした。ハルビンに着いたのは4月末。薄手の長袖とコートを着ていましたが、特に寒くはなく札幌とあまり変わらない気候のように思えました。7月になり夏を迎えると、札幌より暑いくらいでした。札幌ではあまり活躍しなかった、実家から持ってきた半袖も十分に活用できました。なんだあまり寒くないじゃない、そう思っていたら・・・10月に入ると、気温は急激に下降。11月になるとあっというまにマイナスの日々。

 

ハルビンで初めて冬を越す留学生たちは、慌しく冬支度をすることになりました。滞在二年目の先輩たちに聞きながら、必要なものを調達しに街に出かけました。先輩からのアドバイスは以下のとおり。

① 毛糸の帽子、マフラー、手袋は必需品。手袋は布や毛糸のものは冷えるためやめたほうがいい。皮のものをはめた方が暖かい。

② ダウンジャケットは必需品。できれば膝くらいまである長い物を着用したほうがいい。

③ 靴は、もちろんブーツ。ちょっと上げ底のほうがいい。地面からなるべく遠いほうが寒さを感じないため。中が起毛になっているのを履いたほうが暖かい。

④ 毛裤(maokuマオクー)とよばれる、毛糸で編んだももひきを履いたほうがいい。履かないと後々冷えがもとで関節炎になる・・・らしい。(←中国人に耳にタコができるくらいよく言われることでした。先輩たちも何度も周りの中国人に言われるので、ついつい新しく来た人に言ってしまうのでしょう。)

 

ハルビン市内にはロシアの雑貨やお酒、中国産の洋服などを売る市場(私たちはロシア市場と呼んでいた)があり、私たちはそこで手袋などの小物を調達しました。皮の手袋は25元(当時で400円)くらいで買えました。手袋は縫製が日本のものに比べると荒かったのですが、かなり厚手で中が起毛になっていました。こんなに厚手の必要があるのか?と思いましたが、マイナス20度以下になったとき、そのありがたみがわかりました。

 

12月中旬の真冬になると、見たところ帽子、マフラー、手袋をしないで外にいる人はいませんでした。一番寒いときで、マイナス30度まで体験しましたが、マイナス30度以下に外に出ると・・・、帽子をすっぽり目の上まで被り、首と顔半分をマフラーでぐるぐる巻きにしていたが、わずかに露出した目の周りが激しく痛みます。もう寒いというより、激痛なのでした。北海道でも寒くて鼻水が凍るということはあったけど、そんなレベルじゃなく…。ダウンを着て、中は毛100%のセーター。その下にまだ着ているのに、外に出ると一瞬で体中の熱を奪われる感覚に襲われます。正に体の芯まで冷えるという感じ。そんな気候の中、(風も強かった・・・)急用があり、ルームメイトと出かけたのですが、とにかく早く目的地に着いてくれ~と願いながら歩きました。到着して中に入っても20分くらいは生きているという感覚が戻ってきませんでした。

 

ハルビンにはインフルエンザ菌はない、寒すぎて、インフルエンザの菌も死んでしまうから、という話を中国人からよく聞きました。本当か嘘かわかりませんが、この寒さなら菌もいなくなるという話にも納得してしまうのでした。