第84回 平均収入

中国の目覚しい経済発展がメディアで報道されるにつれ、知り合いに今の中国人の一般的な月収はいくらくらいなの?と聞かれることが多くなりました。昔は中国人から日本人の給料はどのくらいなの?と聞かれることのほうが多くありました。先進国であり、経済的に裕福だった日本人の生活に中国人が非常に興味を持っていたということだと思います。その質問をよくされていたころ・・・10年以上も前になりますが、中国に関心を持つ日本人は私の周りにはほとんどいなくて、中国に留学すると言ったら、「アメリカやイギリスじゃなく、なんでまた中国に?」と不思議がられたのを思い出します。

 

それにしても、中国ほど平均年収(月収)を出しにくい国はないと思います。富裕層の人々はケタ違いのお金持ちで、年収数十億円なんていう人ばかり。一方では日々の暮らしもやっとだという人たちも。家がなく、路上で生活する人々もいるし、貧富の差が大きすぎます。日本では地方と都会の格差はそう大きくはありませんが、中国では地方(特に沿岸部以外)と上海や北京などの都会の収入は大きく違い、中国の都市と地方の格差は、深刻な問題となっています。私が留学していた頃、黒龍江省の「農民」(農業を営む人を中国ではこういいます)に話を聞いたところ、一年の収入はプラスマイナスゼロだと言っていました。10年以上たった今も、それと変わらない状況の人も多いといいます。その平均をとるといったらとても計算が難しいのです。

 

四大卒で就職した場合の初任給は?というほうが、まだ計算しやすいかもしれませんが、これも地方によってだいぶ違います。私が留学していた頃は、ハルビンで大学を卒業してすぐ先生になった友達の月収は500~800元ほどでした。今はその3~4倍になっています。上海や北京の都市部では、留学していた当時からハルビンの2倍くらいでしたが、中国の報道を見ると、2012年の都市部での平均的な初任給(月収)は約3000元(約日本円で50000円)以上だというので、こちらもかなり上がっています。

 

中国では、日本のように公務員になったり、大企業に勤めて一生安定した暮らしを送りたいと思っている人より、自分で会社を興して、会社を大きくしてお金持ちになりたいと考えている人が非常に多いです。先立つものがないからできないだけで、たいていの人がそう思っています。会社に勤めていても、「今勉強しておいて、将来はこの知識を活かして自分でやるぞ!」と思っている人ばかりなので、以前、某日系企業の人事担当者に話を聞いたときに、「せっかく育てても、結局は辞めて独立されてしまう。」と嘆いていました。中国人のサラリーマンやOLの話を聞いていても、愛社精神というのはあまり感じません。よりよい条件の仕事を求めての転職も多く、働くのはあくまで自分の将来やキャリアのため!というのが強く伝わってきます。

 

景気がいいといわれている中国は、実は日本と同じように就職難です。金融危機の影響や、数年前に大学入学者を全国規模で急激に増やしたこと等が原因ですが、内陸部では5割の大学卒業者が就職できずにいるといいます。若く優秀な人材が、活躍できる場がないことは大変残念なことだと思います。今後、内需の拡大によりこの問題を解決できるかもしれませんが、その前に地方と都市の格差をどう埋めるか、どのように地方を都市化していくかが大きな課題となっています。