第86回 オマエのものはオレのもの!?

中国人のルームメイトと一緒に住んでいたときのこと。

「ドライヤー借りてもいい?」

お風呂上りに、ドライヤーを借りようと思ってルームメイトの玲燕に聞いたら、彼女が怒りだしました。

「いい加減にしてよ、使ってもいいに決まってるでしょう。いちいち聞かなくていいよ。」

人のものを使ってもいいかどうか聞いてから使うのは日本では当たり前のこと、というかそうしないと相手に失礼だという意識があるので、中国人に対しても同じように聞いてから使うようにしていましたが、中国では少々違うようで。

「仲のいい友達なんだから、別に許可なんてとらなくてもいい。」

これが彼女たちの考えです。いちいち許可を取って使い終わったら「ありがとう」なんてやめてよ、と彼女たちは言います。これは日本人の私には衝撃でした。仲のいい友達のものなら許可なしに見てもいいし、使ってもいいし、食べてもいいのです。親しい仲には遠慮はいらないんだよという考え方。「ありがとう」なんて他人行儀で水臭いじゃないの・・・と。

 

友達の携帯は勝手に見るし、友達の家の冷蔵庫は勝手に開ける。中からものを取り出して勝手に食べることもあります。ルームメイトとの暮らしでも、友達のものは自分のものというような感じ。彼女たちは、洋服や鞄の貸し借りを頻繁にしていて、もうどれが誰のものか分からなくなっていました。買ってきたものが1個も自分の口に入らないうちになくなっていることもしばしば。洗面所に置いている私の香水の減りが早いなと思ったら、ルームメイトがみんな同じ香りを漂わせています。

 

日本人なら、家族間ならそういう感じかも知れません。いえ、家族でも家庭によっては嫌がる場合もあるかもしれませんね・・・。日本では、所有の意識が強く、他人のものと自分のもの区別が明確だから、勝手に人の物に触れる習慣がありません。日本の習慣を説明したら、「許可なしで使ったくらいで、めくじら立てられるなんて小気(けち)だね~」と言われてしまいそうです。

 

気兼ねしないで使っていいというのは楽なのだけどこれに慣れすぎると、日本社会に適応できなくなる恐れがありますね。(因みに韓国人も中国人の習慣とほぼ同じです。親しければ、気兼ねなく友達のものでも使います。)帰国したら日本社会に適応できるか心配でした。