第90回 韓国のお盆チュソク

今年の十五夜(中秋・旧暦の8月15日)は、9月8日でしたね。旧暦の8月15日は韓国では、チュソク(추석/漢字で書くと秋夕)と呼ばれ、日本でいうお盆にあたります。その前後、会社や学校は連休になります。韓国や中国では今でも旧暦が使用されていて、正月(旧正月)やお盆など年中行事は旧暦をもとに日付が決まり、誕生日も旧暦を使う人が多くいます。そのため、新暦にあてはめると毎年それらの日が変わることになります。(去年のチュソクは9月19日でした。)

 

チュソクのときには、日本と同じように親戚が集まり先祖の墓参りをします。家でも法要を行い、新米や収穫したばかりの果実を供え先祖を祭ります。このときソンピョン(송편/松餅)と呼ばれる中にごま、小豆、きび、くりなどを入れて、松の葉をかぶせて蒸した小さな餅を親戚一同一緒に作って食べます。女性がこれを形よく作ることができれば、後にかわいい女の子が生まれると言われています。この餅は甘すぎず、ほんのりと松の葉の香りがしてとてもおいしいです。

(※写真のお餅がソンピョンです)

 

儒教の影響を強く受け、家系・家族をとても大切にする韓国人にとっては、チュソクは親戚が集まる一大イベント。最近会った韓国の留学生はみな、チュソクに帰国できないことを嘆いていました。

 

この時期は日本と同じで帰省のための国民の大移動により、高速道路は大渋滞を引き起こします。2時間で行けるところが6~7時間もかかってしまうこともザラです。空港や駅がひどく混雑するのも日本と同じ。それから、お店のほとんどが数日間休みになるので、このようなチュソクや正月には行き場のない外国人は食事にも困ることになります。特に田舎に滞在している場合は食料の買いだめをしておかないと、飢え死にするかもしれません・・・。

 

チュソクには各地でさまざまなイベントが催されます。以前、私が住んでいたソウルのお隣のアンサン市には外国人労働者が多く住んでいて、駅前のステージで世界のファッションショーなるものが催されていました。中国のチャイナドレスやインドのサリーなどに混じって、日本の浴衣らしきものを着ているモデルさんがステージのわきに数人がいましたが、よく見ると何かがおかしい…。まず丈が短いのが目につきましたが、それより全員が左前に着てしまっているのが気になってしかたがありません。たまたまその中の2人が私の前を通ったので、話しかけてみることに。

 

「あの~、すいません、気になったんですが…、着物の着方が逆ですよ。それは日本では死んだ人に着せる着方なんです」

「えぇ、そうなんですか!?」

お礼を言って走っていく二人を見て、お隣の国の民族衣装の細かいことまでは分からないだろうなと思いました。(日本でも、以前某テレビドラマで女優さんが韓国人役でチマチョゴリを着ていたときに、髪は下ろしっぱなしで、かなり違和感があったという話でした。普通はチマチョゴリのときは、髪はうしろで一つに三つ編か、結ってアップにすることになっています)

 

中秋の季節になると、韓国でソンピョンを食べながら過ごしたそんな賑やかなチュソクを思い出します。