第97回 北京滞在記②

その翌日は、娘のために中国語の絵本を買いに義姉と西单の本屋さんへ。

 

何冊か選んで手に持っていると、知らないおじさんがやってきてわたしの手から本をひったくって、

「俺の持ってる会員カードを使えば、三割引で○○元になるよ。俺のカードを使って買わないか?買った後にレシートくれればいいからさ!」

と、話しかけてきました。

 

びっくりして(へんな人かと思ったので)断ったのですが、おじさんは引き下がらず、言うこと聞きな!絶対得だから!と言いながら後をついてきます。

よくよく話を聞くと、彼はレシートを集めポイントを増やし、更にもう1枚、もっと安くなるカードを作りたいというのです。

 

義姉もかなりの量の本を買おうとしていて、絵本と一緒にまとめて支払ったのですが、結局彼にカードを借りて支払っていました。

 

このおじさんは毎日のようにここでこうして「お仕事」をしてるいんだよ、と店員さんが言っていました。他にも似たようなことをしている人がいましたが、店員さんたちも特に咎めるわけでもなく…義姉はこれも生きるためのひとつの方法だよね、と言っていました。

 

本屋さんの近くの地下通路では、おまわりさん二人が隅の方に座り、携帯をずうっといじっていました。そのまたすぐ近くでは、軍人さん四人が行進の練習をしており…。

なかなか日本では見られない印象的な光景でした。

 

今回の訪中で特に思ったのは、中国のサービスが年々、来るたびによくなっているということでした。銀行でも空港でも本屋さんでもそのほかのお店でも、お客さんに您(「あなた」という意味で、丁寧な呼び方)と呼びかけたり、今まであまり聞かなかった谢谢、慢走(お気をつけて)などの言葉を頻繁に耳にしたし、二年前に来たときに比べ、確実に変化していると感じました。

 

今から16年前の留学中の国営企業のサービスといったら…思い出しても笑ってしまいます。対応はつっけんどん、恐ろしく無愛想。何時間も待たされたり、お金を投げてよこすなんていうことはよくありました。昔は国営だった分野にも現在では民間の企業がかなり進出しており(銀行なども)、国営企業も競争にさらされ、対応を改善せざるをえなくなったのだと思います。対応がよくなくて中国人でさえも行くのをためらうという話だった公安局(警察)でさえもかなりよくなったと聞きます。これからも対個人のサービスは急速に発展していくことでしょう。

 

帰りの空港でのことなのですが、搭乗30分くらい前に

「○×▼○カタヒラカコ、プリーズ○××○」

と、英語で放送がかかりました。英語は苦手なのですが、名前とプリーズと搭乗口の番号だけ聞き取れたのであわてて行ってみると、私のスーツケースが置いてあり、この中にバッテリーが入っているので抜くようにと言われました。

すいませーん…というと、

「ご協力ありがとう。次から入れないでね。」

と。

うーん、本当に変わりましたね。昔なら…と、昔の中国の印象が強いので、いつも比べてしまいます。

(行きはスーツケースにいれても何も言われなかったのですが、帰りのほうがテロを警戒してか、全てにおいてチェックが厳しかったです)

 

サービスがよくなるのはもちろん歓迎なのですが、昔の適当だったり、細かくなかったりする「あの」中国が懐かしく、全て変わってしまうのをちょっと寂しく思うのでした。

 

帰国後…

三日ぶりに会う娘は冷めたもので、ママ!とも言わず、おばあちゃんにしがみついて、そっぽを向いています。手も伸ばしてきません。大ショック!!

わたしは毎日娘のことを考えていましたが、娘はじじとばばとパパが交互に遊んでくれて大変満喫した様子。ママいなくても大丈夫だったよ、と元気いっぱい。

 

この旅で、1番衝撃を受けた出来事でした。